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第391回 人生邂逅 〜 階段を上り身長が伸びる 〜

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 2024年3月16日 筆者は 病理組織診断業務に赴いた。 顕微鏡を見て病気を診断する『風貌を診て心まで診る 丁寧な観察力』の実学である。日々勉強である。  【病理学は顕微鏡を覗きながら、大局観を持つことが求められる分野でもある。 科学としての『病理学』を極めることは、『森を見て木の皮まで見る』ことであり、マクロからミクロまでの手順を踏んだ『丁寧な大局観』を獲得する『厳粛な訓練』の場】でもある。 まさに『風貌を見て、心まで診る=病理学』の時代的要請であろう。 『病理学=理論的根底の懐の深さ』を感ずる。  『がん細胞の病理』(体の中での問題)と『人間社会の病理』(会社の人間関係、学校の友人関係、家族の人間関係、自殺やうつ病の問題)の類似性が、2001年の『がん哲学=生物学の法則+人間学の法則』の提唱の原点である。 つまり、【がん病理の研究を進めるなかで、正常細胞が がん化するメカニズムと、一人の人間が 社会の中で不良息子・娘になるのかは似ている】と感じたからである。  3月17日は、定例の『東久留米がん哲学外来』(2008年開始)と『読書会』(2007年開始)である。 『継続の大切さ』を痛感する時でもある。  筆者は、小学校の卒業式で来賓が話された『ボーイズ・ビー・アンビシャス』(boys be ambitious)(1877年 札幌農学校のウィリアム・スミス・クラークWilliam Smith Clark:1826-1886)博士の言葉)が胸に染み入り、希望が灯るような思いを受けたものである。 筆者の人生の起点であると言っても過言ではない。 札幌農学校におけるクラーク精神が、内村鑑三(1861-1930)と新渡戸稲造(1862 -1933)へと導かれ、英文で書かれた『代表的日本人』(内村鑑三)と『武士道』(新渡戸稲造)は、若き日から筆者の座右の書となった。 そして、2007年からこの2冊の本の読書会を毎月継続的に行なっている。今回(3月17日)は、『代表的日本人』(内村鑑三)の『中江藤樹の5章 内面の人』である。 【人生邂逅の法則=非連続性の連続性=階段を上る=身長が伸びる】である。

第390回 変わらぬ大事な基軸 〜 思い出を積み重ねる 〜

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 2024年3月9日 wifeと雪の万座温泉日進館での【2024年メディカル・ヴイレッジ in 嬬恋村『がん哲学外来カフェ in 万座』&『樋野先生お誕生日お祝い会 及び南原繁(1889-1974)没50周年記念に寄せて!』】に赴いた。  お祝い会では、『おまえに』(フランク永井)、『くちなしの花』(渡哲也)、『すきま風』(杉良太郎) 、『有楽町(日進館)で逢いましょう』(フランク永井)を歌った。 その後、ロビーで 筆者は講演『教養を深め、時代を読む 〜 楕円形の心 〜 & がん哲学外来 〜 寄り添う』の機会が与えられた。   翌日(3月10日)午前中『がん哲学外来カフェ in 万座 〜 大弥佳寿子(享年60歳)さんを偲ぶ会 〜』が企画された。 筆者は別室で2組(4人)の【がん哲学外来の個人面談】を行なった。 終了後、軽沢駅に向かい帰京した。  早速、【先生、ありがとうございます。 変わらぬ人は 何よりも大切です。 先生は 変わらないので みなさんの だいじな基軸になっていらっしゃるのだと わかりました。 思い出が積み重なっていく実感も なかなか得られない大切な体験です。 ―― またみなさんと 暖かい思い出を重ねていくことができればと、楽しみを数えています。】&【お忙しい中を 遠路遥々万座迄お越し戴き『がん哲学外来カフェin万座』に御参加戴き誠に有り難うございます。 ロビーでの一般客も交えてのご講演を始め 色んな行事を参加された方達と共にお過ごし戴き、参加された方々からも今回も最高!とのお言葉でした。 新しく参加された方も 先生のお話しに 感銘を受けたので 今後もがん哲学に携わってみたいとの希望をお待ちです。】&【先生の柔らかな声のトーンからくる小節が利いた豊かな歌唱力は『音色の院外処方箋』となりました。 絶妙に癒されます。 永久保存版です。】&【雪景色の万座温泉と言葉の処方箋で、なんだか芯から温まりそうな様子が伝わってきます。 樋野先生のカラオケ歌唱、素晴らしいです。 お声がとても良くて感動いたしました。】との心温まる励ましのメールを頂いた。  筆者にとって、今回は、『忘れ得ぬ 万座温泉日進館の旅』となった。

第389回 機会をつくる、それを用いる 〜 出来ないと拒みはしない 〜

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 明日2024年3月7日は、筆者の誕生日である。 アメリカのミシガン州に在住の娘の誕生日は3月3日、孫娘は3月4日である。 ワシントン州に在住の娘の誕生日は3月30日である。 今日3月6日は息子夫妻が夕食に訪れる。 【3月生まれの星座は『うお座』と『おひつじ座』です。 3月1日〜20日生まれの方は『うお座』、3月21日〜31日生まれの方は『おひつじ座』。 3月生まれの特徴は『協調性があり冷静に周りを見ることができるので、いち早く状況に応じて動くなど、周囲への気遣いができる方です。』】とのことである。  3月9日、10日は万座温泉日進館で【『樋野先生お誕生日お祝い会』及び南原繁(1889-1974)没50周年に寄せて!】が企画されている。  思えば、2018年3月7日【樋野興夫先生お誕生日会 万座ミュージカル『Origin of fire』『人生ピンチヒッター 〜空っぽの器〜』】が企画された。 2020年3月7日の【『2020年メデイカル・ヴィレッジ in 嬬恋村 がん哲学外来カフェin 万座 樋野先生 お誕生日 お祝い会『がんと生きる言葉の処方箋』】の懇親会に参加した時、 標高約1800メートルでの『Medical Village構想』で、大いに話しが盛り上った(議長:市村雅昭氏  施設長:齋藤智恵美氏  雑用長:森尚子氏)。   2020年3月7日『天空 デイサービス 万座』知的協力委員会が設立され創刊号:春号発行(2020年5月)の運びとなった。 2021年3月13日は『2021年メディカル・ヴィレッジ in 嬬恋村 がん哲学外来カフェin 万座 樋野先生 お誕生日 (1954年3月7日) お祝い会』が企画された。 本当に『不思議な人生の流れ』を実感する。 ただただ感謝である。  1861年3月23日生まれの内村鑑三の『機会をつくるのも、それを用いるのも、人であります』(『代表的日本人』)が鮮明に蘇ってきた。 また、『何もかもできるわけではないが、何かはできる。 だから、何もかもはできなくても、できることを できないと拒みはしない』のヘレン・アダムズ・ケラー(Helen Adams Keller、1880-1968)の文章が思い出される今日この頃である。

第388回 3本柱 〜 『医療介護を支える』『生活を支える』『人生の旅立ちを支える』 〜

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 2024年3月2日福岡県八女市での住民公開講座『このまち、この村を メディカル ヴィレッジに』(八女市民会館『おりなす八女』ハーモニーホール)に赴く。  メディカルヴィレッジ<Medical Village>とは【がんなどの病を抱えた患者さんやそのご家族が、最期まで安心して暮らすことの出来る場所。 それが、医療の共同体=メディカル ヴィレッジです。『1人の人間を癒すには1つの村が 必要である』『病気であっても病人ではない』『病気は単なる個性である』この3つを柱に、日本メディカルヴィレッジ学会は、Medical Villageの実現に向け『医療維新』の舵取りを行います。  がん患者の方々、さまざまな病を抱えた方々、高齢の方々などが心安らかに暮らせる場所とは、どのような環境でしょうか? 病などからくる身体の不自由、それは単なる『違い』でしかありません。違いによって差別するのではなく、その違いを個性として受け止め、その人が生きる目的を持ち、自分の居場所を見出し、 自身の人生を大切に生きることができる場所。  そんな営みをサポートするためには、ひとつの村、すなわち地域の共同体が必要となります。 Medical Villageでは、さまざまな人々のための様々なサポートが必要です。 そこでは、『がん哲学』の理念を中心に多職種の連携が必要、とわたしたちは考えます。  具体的には『医療介護を支えるチー ム』『生活を支えるチーム』『人生の旅立ちを支えるチーム』の3つを想定しています。(日本メディカルヴィレッジ学会創刊号から引用)】と謳われている。  今回の住民公開講座を企画された『みどりの杜病院院長』原口勝先生が【ホスピス緩和ケアがつなぐ『メディカルヴィレッジ』八女筑後版(みどり杜病院監修原口勝編集)】を出版されることになった。 住民公開講座に間に合うように製本されたとのことである。 大いに感動した。 楽しみである。

第387回 『濃やかな配慮の人』 〜 快然たる微笑 〜

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 筆者は、2024年2月26日 理事長を務める恵泉女学園の理事会に赴いた。 帰り道で、下校中の3人の生徒に話しかけたら大爆笑された。 大いに感動した。  写真家の河合章氏から【樋野興夫先生 前回までの写真は、自然の風景の中に、富士山が収まっていましたが 今回からは、人間が構築した人工的な建造物の中の富士山です。 撮影した場所は、文京区役所(シビックセンター)の展望室からです。】と富士山の写真が送られて来た。 大いに感服した。   今朝(2月27日) は、我が家から壮大の雪の富士山を拝見した。 筆者は幼年時代から今は亡き母に【誕生の年の初夢に富士山を見た=『富士山子』】と毎日 母に励まされた。 故に『富士山』には特別な思いがある。 幼年時代のインプリンティングは 生涯に影響を与える様である。 幼年期の教育の重要性を痛感する。   また、筆者が代表を務める南原繁研究会の事務局長 秋間修氏から【『Youtube に「ブギウギのモデル笠置シヅ子の生涯」と題する一種のドキュメントが、一般の視聴者向けに2024年2月2日付けで、上程されています。(全編73分余り、南原は65分頃から登場) https://www.youtube.com/watch?v=wBG-3W0yjqo 』が送られて来た。』】が送られて来た。 南原繁(1889-1974)は東大総長時代、『笠置シヅ子後援会』の会長を勤めている。   2月27日都内で、講演『正論より配慮 〜 賢明な胆力 〜』を依頼された。 『正論より配慮』の3ヶ条 1)『他人の感情を尊敬することから生じる謙遜・慇懃の心』 2)『濃やかな配慮の人』 3)『欣然たる面貌、快然たる微笑』 『賢明な胆力』の3ヶ条 理念:『先見性と器量の育成』 目的:『正論より配慮の訓練』 方法:『個性と多様性の提示』

第386回 『旧と新を融合する読書』 〜 真醇なるものが生起する 〜

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 今日(2024年2月23日)は『天皇誕生日の休日』である。 筆者は2019年8月 日本病理学会中国・四国支部主催『第20回病理学夏の学校:病理学の原点に触れる』(奥道後 壱湯の守 に於いて)での特別講演『病理学の温故創新 〜 医学・医療の懸け橋 〜』の機会が与えられたことが、今朝、鮮明に想い出された。  中国・四国の10大学から約120名の医学生の参加があり、熱心に聴き入る学生の真摯な質問に全力で対応した。 特に『学生時代における読書のあり方』についての核心を突く質問があり、【『毎日寝る30分前には医療と関係のない書物を読みなさいと言われ実践してきた。 筆者の若き日の『内村鑑三(1861-1930)・新渡戸稲造(1862-1933)・南原繁 (1889-1974)・矢内原忠雄(1893-1961)の4人の読書遍歴』を述べ『揺らぐ日本を思い、骨太に読み切る読書の習慣】を奨めたものである。『自らの生き方を見つめ直す貴重な夏の学校』となった。  想えば、南原繁没30周年記念事業として、今は亡き鴨下重彦(1934-2011)先生らと月1回の『南原繁全集10巻の読書会』始めたのが、2004年4月15日であった。 早20年の歳月がながれた。 年1回公開シンポが企画されている。 筆者は、2004年にスタートした『南原繁研究会』【初代代表、鴨下重彦先生、東京大学名誉教授、国立国際医療センター名誉総長)、第2代代表、加藤節先生(成蹊大学名誉教授)】の3代目の代表を2019年 南原繁生誕130周年を祝し、仰せつかることになった。 【新渡戸稲造の教えに従って 自己の内面を深化させていくなかで、内村鑑三に出会った南原繁は『人間性の完成』を目指した。『良い先生・良い友・良い読書』は『人生の邂逅の3つの法則』である。『南原繁が何を為し、語ったのかの学び』は、今の日本国に於いて緊要な『偉大なる理想』】となろう。【新渡戸稲造の学びからみる『ぶれぬ大局観の獲得は 教育の真髄』であろう。『ビジョンは人知・思いを超えて進展する】ことを痛感する日々である。『進歩と保守の一致する所、旧と新との融合する所、そこに真醇なるものが生起する』(内村鑑三)の言葉が身にしみる、今年の『天皇誕生日の休日』となった。

第385回 馬から下りて花を見る 〜 手を差し伸べる 温かい心 〜

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 2024年2月19日、『がん哲学外来さいわいカフェin茨城・筑西』代表の海老澤規子氏から、絵葉書【馬から下りて花を見る: Come down from the horse and see the flowers.(出典:日めくり 人生を変える言葉の処方箋19 いのちのことば社)】が送られて来た。  大いに感動した。【第239回「言葉の院外処方箋」『内から湧き出るjoy』 〜 隅の首石 〜】を読まれた中川健一牧師からは【読ませていただきました。 多くの方々が、樋野先生のご奉仕によって『天来の力』を得ておられますね。】との励ましのメールを頂いた。  また、土建の健康増進:岩崎香菜氏からは、【読書会で今回音読された、武士道の『小さい子をいじめず、大きな子に背を向けなかった者、という名を後に残したい』という言葉、素敵ですね。 幼少時代には、『自分より弱いものには優しく、自分より強いものであっても背を向けて陰口を言うのではなく、堂々と意見を言えるように』と習いましたが、社会に出て、いつしか強いものの意見に巻かれることが多くなってしまっていたことに 改めて気づかされました。 困っている人には 自ら手を差し伸べられる 温かい心を持ち続けられるよう、努力していきたいと思います。】との心温まるメールを頂いた。  順天堂大学での『アスベスト・中皮腫外来』(2005年)をきっかけに、『がん哲学外来』(2008年)がスタートした。 2009年に土建でも『がん哲学外来』が開催された。 今年(2024年)は『がん哲学外来 in 土建』15周年記念で、2024年2月27日に講演『正論より配慮 〜 賢明な胆力 〜』を依頼された。  2008年7月18日、厚生労働省記者クラブでの『中皮腫の発症前診断に成功 〜 アスベスト暴露による中皮腫の早期発見に大きな前進 〜』の取材が、今回、鮮明に想い出された。【アスベスト暴露による中皮腫の発症は既に大きな社会問題となっていますが、――】と紹介された。 【私たちの出会うことがらには、出来ることと出来ないことがあるが、出来ることは頼まれれば こばむものではない いやとは言わない】の学びである!