第35回 「がん教育」の真髄 〜 あとは 自分で 考えて 生きたい です 〜

 先日のラジオNIKKEI「大人のラジオ がん哲学学校」の講演を聞いた中学生の感想が 送られてきた。

 『「人は 最後に死ぬという仕事が残っている」という言葉が心に残りました。人それぞれ、形は違っても、人は生まれ、いつか死にます。私の祖父の最後は「がん」だったそうです。私が生まれた時にはもういませんでした。人との出会いや、別れも 大事にしたいと 思いました。』

 『「顔は 変えられないけど 顔つきは 変えられる」という言葉が 心にしみました。日頃から、笑顔で いるようにしていますが、たまに嫌なことがあるときに 顔に出てしまっている時があると 思うので、嫌なことがあった時こそ、笑顔でいられるようになりたいです。』

 『先生の言葉が、重く 深く 響くのは、きっと内容が 良いからだけではなく、長い時間生きて、長い間「がん」などを通して考えることを してきたからだ と思います。「チャウチャウ」・「役割」・「死」・「黙る」・「寄り添う」・「歯を食いしばって褒める」。キーワードは たくさん もらえました。あとは 自分で 考えて 生きたい です。』

 『今回の講演で、「がん」に ならないようにすることが 大切なのではなく、どう付き合い、どうやって「がん」を患う人と 接していくのかが大切なのだと 感じました。現実に あらがわず、その状態で 最も良い道を 選んで 生きていく、そんな風に なりたいと思った。』

 『最後の質問の時に、「生後2週間で 死んでしまう人も いるけど、意味と役割がある」という言葉が とても心に残りました。うまれてすぐ 死んでしまう人も 100歳まで生きて 死んでしまう人もいるけど、それぞれに 価値があって生きていくうちで「意味」・「役割」・「価値」のない人は いないんだなと 思うことが できました。』

 真摯な感想には、感動した。日経BP社で、Cancer Parents(キャンサーペアレンツ)の代表と対談する機会が与えられた。「こどもをもつ がん患者で つながろう」と、謳われている。人間の身体の臓器、組織、細胞の役割分担と、傷害時における全体的な「いたわり」の理解は世界、国家、民族、人間の在り方への深い洞察へと誘うのであろう。これが「がん教育」の真髄ではなかろうか。


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